伝説の残る Moustiers-Sainte-Marie

Moustiers-Sainte-Marie (ムスティエ・サント・マリー)


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実は、何を隠そう、この私。
この村に、あまり興味がありませんでした。

ですので、数年前に、友人から、「Moustiers-Sainte-Marie に行きたい!」と、言われた時、車で行きづらい場所にあったこともあり、最初に却下していた村。(ほんと、申し訳ない・・・)

ところが、今年(2013年)の「Les Plus Beaux Villages De Nos Régions」にて、プロヴァンス地方から選出され、その本でこの村の全貌を初めて見た時、あまりに神秘的な姿に、一気に、「行ってみたい!」となったのでした。(重ねて、申し訳ない・・・)

ここは、交通の便が、ほんと悪くて、我が家から、5時間半もかかります。
何度か行こうとしたのですが、なかなかチャレンジが出来ず(1日での往復は無理だったため)、今回、夫に連れて行ってもらうことになりました。

リュベロン地方から、一路、オート・プロヴァンス地方に向けて、私がみなさんに、押しまくった、美しいラベンダー畑の中をひたすら、走る、走る。

 

Moustiers-Sainte-Marie

走る、走る・・・・・。

Moustiers-Sainte-Marie

 

このラベンダー畑をやっとのことで抜けると(それくらいすごいです)、突然すごい光景を目にするのです。

ヨーロッパで、一番深い峡谷とされる「ヴェルドン峡谷」の中に、突然現れるMoustiers-Sainte-Marie(ムスティエ・サント・マリー)。
この峡谷、700m~800mあるそうです。

 

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さて、みなさんこの写真の中央を見て、何かあることに気づきましたか?

 

Moustiers-Sainte-Marie

いや、ほとんど見えませんね。
じゃあ、この写真で気付きます。

Moustiers-Sainte-Marie

そう、橋の上から、視線を上げていくと・・・・・。

Moustiers-Sainte-Marie

なぜか、星が、吊り下がっていたのです。

Moustiers-Sainte-Marie

 

この星には、いくつかの伝説があります。

一番有名なのは、サラセン(イスラム)の捕虜となっていたブラカス騎士が、 「もしも、無事に、ムスティエに戻れたら、聖母マリアに星を捧げる」と祈り誓い、無事に戻れた折りに、約束通りに、星を掲げたという話。

もう一つは、ある敵対する2つの家族があり、その家族の子供たちが恋に落ちます。
しかし、当然家族に反対され、二人は絶望の淵に陥り、心中してしまうのです。
(ようするに、ロミオとジュリエットの物語のような感じです)
その後、その家族たちは、お互いに敵対することをやめることを近い、この岩と岩の間に、星を掲げたというロマンティックなお話。

どうやら、掲げた当初は、16角形だったそうですが、そのオリジナルは谷底に沈み、現在の物は、1882年に掲げられたものだそう。そして、現在は、5角形、いわゆる星形になっていると書かれていますが、写真を拡大してみると、突起があるので、純粋な星形でもなさそうです。

そして、オリジナルの星も、数十年後に、発見されたそうです。
なかなか、興味深い話ですよね。

いよいよ、村の中に、入っていきましょう♪
村の中のイメージは、あの荒々しいイメージとは、うって変わり、突然、おとぎの国へと変貌します。
(残念ながら、この日は雨が降っていたので、写真が少し暗いです)

 

Moustiers-Sainte-Marie

 

Moustiers-Sainte-Marie

 

ムスティエ・サント・マリーと言えば、この「ムスティエ陶器」のお話をなくしては、語れません。

Moustiers-Sainte-Marie

 

実は、先日、車が故障した際、お世話になったガレージで働くムッシューのお母さんも、レンタルカーを借りる場所まで連れていってくれた、タクシードライバーの女性も、昔は、ここ、ムスティエ・サント・マリーにて、絵付けの仕事をされていたそうです。

しかし、残念なことに、最近ではどうしても、安い中国製品にかなわなくなってしまい、大きな工場は、次々に閉鎖され、みなさん、仕事がなくなっていっているそうです。

Moustiers-Sainte-Marie

ムスティエ陶器は、エスタンパージュという型取りの技法を使い、1030℃の温度で焼き、まずは、「ビスキュイ」という陶土を作ります。
次に、その陶土をエナメル塗料に浸します。(エナメル塗料は、焼成後、ガラス状になるガラスの液体のようなものです)その後、絵付けが施され、再度975℃で焼かれると、美しい艶がうまれ、このムスティエ陶器が完成するそうです。(ファイアンス焼きの一種)

Moustiers-Sainte-Marie

 

それにしても、可愛いデコレーションですよね。

可愛いと言えば、この村のサインは、ムスティエの陶板。
この道しるべには、思わず微笑んでしまいました。

Moustiers-Sainte-Marie

道を曲がるたびに、どんな世界が待っているんだろうと、わくわくしますね。

Moustiers-Sainte-Marie

また、少しぷらぷらと、歩いていくと、いきなりこんな物体が!

フランスは、アーティストさんが、こうやって家の壁に、自分の作品を取り付けていることも多く、所々で見かけます。
馬の蹄鉄からヒントを得て、作っているんでしょうね。(ちなみに、蹄鉄は魔を除け、幸運をもたらすと、言われており、蹄鉄を家の戸口や壁に飾ると、その下を、魔女は通ることが出来ずに、幸運がくるという話を聞いたことがあります。)

Moustiers-Sainte-Marie

日本でも見かけますが、ガラス細工の職人さん。
結構、いろんなお店があって、楽しめましたよ。

Moustiers-Sainte-Marie

こちらは、アイアンのお店。
ちなみに、「l’apéro」とは、「アペリティフ」のことです。
(基本的に、アペリティフとは「食前酒」のことですが、フランスでは、友人を招いて、食事の前に、食前酒とともに、簡単なおつまみを食べる習慣があります)ですから、「ここで、アペリティフやってるよ~」的な看板ですね!
「Coin」とは、曲がり角とか、片隅とかの意味がありますが、まぁ、「Place(場所)」と、この場合は似たような意味を取ります。おぉ!たまには役立つフランス語!(笑)

Moustiers-Sainte-Marie

 

もみじらしき木の陰から見えるのも、美しいムスティエ陶器のお店で、このお店も、おしゃれでしたよ。

Moustiers-Sainte-Marie

 

村の中には、12世紀の鐘楼をもつノートルダム教会もあります。

 

Moustiers-Sainte-Marie

 

こんな色合いも可愛いなと思って、撮影しましたが、窓が2枚も割れているのが、フランス流。
気にしない、気にしない(笑)

Moustiers-Sainte-Marie

 

この村自体は、とても可愛いですし、まだまだ紹介できていない場所もあるほど、見所がいっぱい!
その上、本当に行くのに時間がかかるので、ゆっくりと観光するのに適した村だなと思いました。

Moustiers-Sainte-Marie 情報

Moustiers-Sainte-Marie HP

<見学予想時間>
半日ほど。

<アクセス方法>

*バスを使う場合
多分、この方法が、一番わかりやすいと思います。

Marseille (マルセイユ)からか、Aix en Provence (エクサンプロヴァンス)から、Autocars Sumian社を使います。
Riezで、乗り継ぎがあるので、気を付けてください。(所要時間約2時間弱)

非常に本数が少ないので、バスで行く人は、絶対に乗り遅れないよう、細心の注意をはらってください。(30分前にはバス停について待っておくこと)
時刻表は、こちらをご覧ください → (2012年のものしか、見つかっていません)

*車の場合
Aix en Provence (エクサンプロヴァンス)からの場合
高速道路A51を走り、17番出口で降り、D952をひた走ると到着。 (約1時間30分)

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